盛岡つなぎ温泉 ひぃなの丘 湖山荘 [日々の日記]
涼しい風が吹くようになってきて、東京でも秋の気配が感じられるようになりました。
お盆の帰省で戻っていた岩手。遠野へ小旅行をした後盛岡に戻り、両親が予約してくれた温泉宿へ泊まりました。
ここしばらく、帰省すると両親が我ら夫婦のために宿をとってくれています。前回は網張温泉でした(その時の記事はこちら)。なんだか申し訳ないのです。
今回のお宿・ひぃなの丘 湖山荘(こざんそう)は、盛岡の西の端、雫石町との境にあるつなぎ温泉という温泉街にあります。つなぎ温泉は開湯900年の伝統ある温泉で、御所湖という人造湖の湖畔に9軒の温泉宿が並んでいます。
元々は、御所湖が出来る際に湖底に沈むところだった岩手県某企業の保養施設を「もったいないから」と湖畔の丘の上に引き上げ、そこで旅館業を始めたのが湖山荘の始まりだったようです。
私の亡くなった祖母がこの宿からの眺望をとても気に入り、湖の見える部屋に連泊して趣味の短歌をたくさん詠んでいたのでした。
私も大分前に宿泊したことがあったのですが、湖を臨む景色の素晴らしさと源泉100%(当時はそんなの当たり前だった)ということ以外、特にこれと言った良さはなく、「元保養所」的雰囲気の漂う、ごく普通の宿でした。
近年、車いすや足の悪い方でも利用できるように、と温泉付きでトイレ・洗面所付き、食事もお部屋で、というバリアフリーの「離れ」の客室ができ、大きな露天風呂や新しい内風呂もでき、内装も木を基調にした暖かみのあるものに、と大幅にリニューアルをされていたのでした。リニューアル後、日帰り入浴をしたことはあったと思うのですが、宿泊するのは初めてです。
入り口をくぐると純和風の庭園があり、落ち着いた静かな雰囲気です。
足湯もできていました。のんびり過ごすのに良さそうです。
お部屋には山野草の名前が付けられています。私たちが通されたのは「雪の下」というお部屋。残念ながら湖側の部屋ではありません。
部屋へ通されるとすぐに冷たい緑茶と水まんじゅうのサービスがありました。これは嬉しかったです。
お部屋はこんな感じ(ちょっと散らかってますが…)。お庭を眺めることができます。
部屋の中には昔懐かしい玩具が置いてありました。扇風機や鏡台など、部屋の調度品も昭和の薫りが漂っています。また、フロントの前には駄菓子を置いていたり、どことなくノスタルジーな雰囲気が漂っていました。
引き戸の中にかごが置いてあり、アメニティが色々と入っていました。嬉しかったのは、風呂場まで着替えや洗面道具などを持って歩ける小さなビニール袋があったこと。下着類なんかも上手に隠せます。その他、足袋とかクレンジングシートも備えてありました。
そして部屋に置いてあった盛岡のミニコミ誌が非常に良かったです 盛岡を愛している人達がこんなにいるんだな~、と実感できるような本。表紙のおじさんは「びっくりドンキー」系列1号店のお店、盛岡にある「ベル」のドアマンをしている方です。
(てくりhttp://www.tekuri.net/)
湖側の敷地にパブリックスペースのテラスがあって、そこから湖を眺めることが出来ます。
お天気が良かったため、運良く岩手山も眺めることが出来ました。岩手山は別名「南部富士」、標高2038メートルの休火山で岩手県最高峰です。
景色を堪能した後はやっぱりお風呂です。宿自慢の露天風呂は30人は入れるんじゃないか、と思うほど広大。岩を配した和風の露天風呂で、お湯も熱くなくぬるくなく丁度いい湯加減でした。ただし、お湯がぬるっとしていて滑りやすいので、歩くときに注意が必要です。
岩に腰掛けて空を見上げると、びいどろのような薄いオレンジ色の空に、さまざまな高みでとんぼが飛び交っていました。空の高さに、間違いなく秋がやってきていることを実感していました。
西の奥羽山脈に日が沈もうとしていました。変化していく空の色を、山の色と空の色が同じになるまで眺めていたかったのに、夕食の時間となってしまいました。綺麗な夕空を眺めずに食事をするなんてもったいないよなー、と思ったのですが、決められていることなので仕方がありません。
お食事は地元で採れる野菜や山菜、川魚を中心としたメニューです。
お造りがどーーん、とか、固形燃料を使った鍋や焼き物がどーーん、とかそういう派手さはないのですが、丁寧に作っているのを感じるお料理でした。
「利き酒セット」というのがあったので、それを頼んでみました。いくつかあるフレーバーの中から「フルーティー」をチョイス。あさ開き・浜千鳥・浜千鳥純米の3種類の冷や酒がグラスに注がれて¥500です。
ちなみに、旧南部藩の岩手県は南部杜氏のふるさとでもあります。地酒も結構充実しているのです。日本酒を飲むのは久しぶりだったのですが、翌日に全く残らない、いいお酒だったな、と思います。
夕食には川魚の刺身がでてきました。川魚の刺身なんて、よっぽど魚が新鮮じゃないと食べられないと思うのですが、美味しくいただきました。
メインの一つ、イワナの串焼き。蛇足ですが、私は生まれ月が2ヶ月早かったら「岩魚(いわな)」という名前をつけられていたんだそうです…(父談)。共食いにならなくてよかった…と思いながら立派なイワナにかぶりつきました。
辺りもすっかり暗くなり、夕食後にテラスに出て星を眺めてみました。月もなく雲もない、きれいに晴れた満点の夜空。天の川や流れ星を見つけ、テラスの椅子に座って目を閉じていると、虫の声が鳴り響いていました。長い間隔と短い間隔の2匹が競って鳴く声は、兄の13回忌の時に聞いた二人のお坊さんの声に重なりました。…8月15日の夜です。
朝目覚めて、私は旅館に残っている古い内風呂に入ってみました。露天風呂がある方と反対側の突き当たりにあるその内風呂は昔の記憶そのままで、剥がれかけたタイルやシャワーのない洗い場など、リニューアル前の「保養所風」な面影を残していました。
朝食を遅めの8時30分にお願いしたら、なんと我らが一番最後だったようで…。広いお座敷のど真ん中で二人きりで朝食をとりました。
前日の夕食時に、納豆が食べられるかどうか確認がありました。朝食の納豆はかなりの大粒。ご飯は五分づき、盛岡名物「寄せ豆腐」(盛岡は豆腐消費量全国一)、イワナの甘露煮などをいただきました。絞りたてのリンゴジュースも美味しかった。
夕食時に箸を選んで色つけ→お土産、とか、手書きのメニュー、和風でレトロな館内装飾など、頑張って工夫しているのを感じられる旅館でした。ただ、部屋にはトイレや洗面所がついてなく、その辺にまだ古さを感じます。そして食事の内容を考えると、ちょっとお値段お高め?という印象を拭えません。
私の父親はここの旅館を何度も利用させてもらっているのですが、リピーターへの配慮も余りないみたいです。コスパフォとソフト面で、もう一頑張りして欲しい…。小さい頃から利用させてもらってるので、応援のつもりでそう思います。懐かしさを味わわせてくれてありがとう
温泉宿って、何故か秋の雰囲気です。
by kazn (2009-08-26 20:05)
kaznさん、
ちょっとノスタルジーな雰囲気が、秋の気配と重なるんですかね。
飛び交うとんぼ、すすき、虫の声、空の高さ、秋の気配をたっぷり感じさせてもらいました。
by pawpaw (2009-08-27 21:16)
良い雰囲気の宿ですね…
by キャシー (2009-08-29 08:29)
キャシーさん、はじめまして♪
お越し頂いてありがとうございます。
リニューアル後は木をふんだんに使った内装になり、全体的にノスタルジー漂う雰囲気の良い宿になったと思います。
離れの部屋はさらにグレードが上がるので、一度泊まってみたいな~、と思っています。
by pawpaw (2009-08-30 17:33)
おつかれさま。
自然・木・温泉・山・池・・・
癒されるねぇ~^^。
by しげ (2009-08-31 06:51)
しげさん、
こんばんは!
田舎に帰るとやはり癒されます。
空気も美味しいですし…。
自然のものが自然のままあって、それを自然に感じることができる、当たり前のことだけど東京じゃ無理…。実は贅沢なことなんだなー、って思います。
by pawpaw (2009-08-31 22:18)
いいですねー、旅館ごはん。
日本酒も美味そうです。
by くろた (2009-09-01 15:07)
くろたさん、
食事は旅館に泊まる楽しみの一つですよね。
正直、夕食は地元の素材にこだわりすぎて少し地味な印象を持ったのですが、朝ご飯はとても豪華でした。
日本酒も美味しかったです♪ 私の好みだったのは「浜千鳥純米」で、アルコール臭さもなく後味すっきり、フルーティーな味わいで美味しかったです。もう少し寒さが増せばお燗のお酒もいいですね~…。(←のんべえ)
by pawpaw (2009-09-01 22:06)